新卒のホンネ!~協力隊活動を通して~

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マダガスカル共和国 体育

 

 

自己プロファイル

派遣国:マダガスカル共和国

隊次:2018年度1次隊

協力隊派遣前:日本体育大学 体育学部 社会体育学科(教職ゼミ)

応募時の資格:中学校教諭一種免許状(保健体育)/高等学校教諭一種免許状(保健体育)/レクリエーション・インストラクター/スポーツリーダー/障がい者スポーツ指導員(初級)/赤十字救急法救急員/赤十字ベーシックライフサポーター

職種:体育

配属先:マジュンガⅠ群学区事務所

活動対象の人:子どもから大人まで

要請内容:

配属先体育指導官、活動先校長や教師、青年の家責任者・指導者と協力しながら、

①中学校における体育授業の実施サポートを行う。 

 

②学校でのクラブ活動の振興、指導を行う。 

 

③青年の家において、スポーツ指導、保健・衛生啓発活動を活性化する。 

 

④学校や青年の家において、日本文化紹介や体験の場を提供する。

 

 

自己紹介 

私は新卒で約2年間アフリカのマダガスカルで体育隊員として活動していました。元々は、体育教員になるという長年の夢を叶えるために、体育大学へ入学しました。教員になる前にいろいろな経験を積みたいと、大学1回生の夏に参加したフィリピンの孤児院でのスタディーツアーをきっかけに、私の人生観が大きく変わりました。それから在学中に、短期JICAボランティア体育隊員として、カンボジアに1か月、ネパールに1か月間派遣されました。

また、他団体でも開発途上国に訪れる機会があり、生涯を通して国際協力の分野で働きたいと思うようになりました。その中でも、ストレートチルドレンや孤児院での活動に強く興味を持っているのですが、まずは自分にできることから始めようと、今までのスポーツ経験や大学で学んだことを活かせるJICA海外協力隊、体育の職種での応募を決めました。

 

 

~現地のことについて~

①現地で活動して良かったと思った瞬間

同僚や生徒からの、「ありがとう」が私のエネルギー源でした。特に、2度開催した運動会は、1回目が7校、2回目が8校、総参加者約1000人の規模での開催だったため、かなり苦労もありました。しかし、カウンターパートや各学校の校長、体育教員と共に創り上げていき、終わった後の達成感や生徒の成長を見ることができた時は、とても嬉しかったです。他にも、体育授業や研修会など、日々の活動の中で、「うちの学校でもやってほしい」と声をかけてもらう度に、少しでも力になれているのかなと実感でき、活動のやりがいとなっていました。周りの人に恵まれ、だいすきな生徒に出会い、尊敬する同僚たちと活動ができた2年間は、私にとって一生の宝物です。

 

 

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小学校での体育授業の様子

 

 

②活動で辛かったこと、どう乗り越えたか 

自分の言いたいことが上手に伝えられず、相手の言葉がうまく理解できないときに、少しがっかりそうにする生徒や同僚の顔を見るたび、悔しかったのを覚えています。

言葉も拙く、外に出れば「シノアー!(中国人)」と叫ばれ、体調も安定せず、自分の存在意義が分からなくなったり、無力さに悩んだり、挙句の果てに泥棒に入られたり・・・

2年間を振り返ると、辛かったことは沢山ありました。悔しくて泣きながら帰ることも、一晩中嘔吐が止まらず死ぬんじゃないかと思ったこともありました。

そんな時に支えだったのが、生徒の笑顔やいつも心配してくれた同僚たち、他隊員、JICAスタッフ、そして日本で応援してくれていた家族や友人の存在でした。一人では絶対に頑張りきれなかったと思うので、本当に感謝しています。また、迷った時は前に自分が書いた文章を読んで、初心に戻るようにしていました。

 

 

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児童養護施設の元気で明るい子どもたちと

 

③要請内容への取り組みとその後 

主に、小中学校を巡回して各巡回先の体育教員と一緒に授業を行っていました。2年目には、校内体育研修会も実施しました。はじめは、体育授業はほとんど実施されず、実施していてもサッカーやかけっこだけといった内容でしたが、限られた空間や用具でもできる運動を紹介し、それが授業に反映されるようになりました。体育授業だけでなく、手洗い啓発や歯磨き指導など、保健衛生啓発活動にも取り組んでいました。他に、クラブ活動として、アルティメットチームを創設したり、授業がない日や長期休暇を利用して、スポーツ指導や日本語教室、上映会なども行っていました。配属先との一大イベントとして、2度運動会を開催しました。2回目は計画から当日まで、ほとんどを同僚たちだけで進め、マニュアルも作成できたので今後も継続して開催されることを期待しています。

 

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8校対抗の大運動会の様子(ムカデ競争決勝戦

 

 

 

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クラス対抗サッカー大会のPK戦

 

 

 

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中学校2校対抗のアルティメット大会の開催後

 

 

④要請内容外での取り組みと展望

 要請は、公立中学校での体育授業の実施サポートでしたが、現地のニーズや活動していく中でのご縁もあり、小学校や聾学校、私立学校でも活動を展開していきました。小学校では校内体育研修会も開催することができました。他にも、運動会やスポーツ大会等のイベントや、児童養護施設での活動など、要請内容外でも、とにかくいろいろなことに挑戦していこうと決め活動をしていました。要請内容と実際の現地のニーズが合っているとは限らないので、要請内容に捉われず、とにかくなんでもチャレンジする気持ちで行動していくことが大切だなと思いました。そのおかげで私自身も本当に沢山の素敵な出会いと、貴重な経験をすることができました。何もやらないこともできるけど、なんでもできる。協力隊は本当に「自分次第」だと思っています。

 

 

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児童養護施設での手洗い啓発活動

 

 

 

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聾学校でのアクティビティ

 

⑤現地での活動や生活で得たもの 

現地の活動では、周りを頼り巻き込むこと、そのために現地の人と信頼関係を築くことの大切さを実感しました。言葉も拙くなんの経験もない外国人の自分一人では、現地で何もできません。何をやるにしても周りの協力が不可欠です。だからこそ日々周りの人との関わりや繋がりを大切にしていました。自分が困ったときはいつも力を貸してくれる頼もしい同僚たちのおかげで、2年間思い切って活動をすることができました。どんなに格好悪くても、一生懸命な姿勢は必ずいつか伝わると信じています。また、今まで自分が当たり前に思っていたことは、決して世界の常識ではないと知ったからこそ、今日本での生活に感謝し、小さなことに幸せを感じることができています。2年間マダガスカルで気づかされたことは沢山あります。本当に協力隊に参加して良かったと思っています。

 

 

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いきなり訪れた自分を笑顔で迎えてくれた村人たち

 

⑥新卒だから出来たと思うこと、逆にもっとやっておけば良かったこと 

日本での社会経験がなかったからこそ、固定概念に捉われず、同僚たちと同じ目線に立って活動することができたと思います。日本での常識は、必ずしも万国共通ではないと思います。日本のやり方の一方的な押し付けは、その場限りの活動になり、信頼関係も築きにくくなると思います。私自身も彼らから沢山のことを学びながら、自分の持っている限りのアイディアなどを共有して、一緒に何かを創り上げていこうという気持ちで活動できたのは新卒だったからかなと感じます。

 

一方で、もっと知識やスキルがあれば、引き出しがあれば、と自身の力不足には最後まで悩みましたし、悔しい気持ちはありました。何かしたくて参加したのに、2年間助けてもらってばかり、学ぶことばかりだった気がします。それでも私を快く受け入れてくれた同僚達には、心から感謝していますし、この経験を糧にしていくことが使命だと感じています。

 

 

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2年間支えてくれた頼れるカウンターパート(右)と同僚

 ~協力隊全般について~

⑦訓練所での感想 

訓練所では、とにかく語学勉強に明け暮れていました(笑)

語学勉強は絶対に本気で頑張ったほうがいいと思います。「ある程度」でも、確かになんとかなるかもしれませんが、語学は努力した分、コミュニケーションの幅はどんどん広がっていきます。訓練所だけでなく、入所する前から、修了した後も、そして現地でもコツコツ継続することが大切だと思います。訓練中は、班長を務めさせていただいたり、イベントの実行委員をしたり、自主講座に挑戦したりもしました。訓練所は語学以外でも、学びの場(チャンス)が多くあります。勇気を持って思い切っていろいろなことに挑戦したり、人との繋がりを持っておくことは現地での活動に大いに役立つと思います。

 

 

⑧選考時はどんな面接だったか

私は、入退出など基本的なマナーを一通り確認しただけで、内容に関しての準備はしていませんでした。自分が協力隊を目指した理由や、協力隊後のことなど、質問に対してその時に自分が思ったことを素直にそのまま答えました。

 

聞かれたことは、

 

志望動機

自己PR

在学中の短期JICAボランティア経験で何を学んだか

在学時に頑張ったこととそれを協力隊でどう活かせるか

なぜこの国を第一希望にしたか

帰国後はどうするか

なぜ新卒で協力隊を選んだのか

日本の体育教育の目的は何か

体育を教えるときに大切にすることは何か

もし整列ができないクラスがあったらどこまで言い続けるか

現地でやってみたいこと

 

など。

 

 

⑨何故受かったと思うか

 熱意が伝わったのだと思います。

卒業後の進路は一本、協力隊だったので。

派遣国も、要請内容を見て、第一希望だったマダガスカルにどうしても行きたかったので、そこも面接でかなりアピールしました。自分の考えや、意思を飾らずに真っすぐ伝えることが大切だと改めて実感しました。

 

 

⑩協力隊終了後の進路 

コロナの影響で3月末に緊急帰国し、再赴任叶わず7月に任期終了となりました。こういう時こそ、特に開発途上国では支援が必要なのにも関わらず、何もできない自分の無力さがとても悔しく、居ても立っても居られず、すぐにNGOインターンに応募しました。ありがたいことに合格をいただき、渡航までアルバイトをしたりして過ごしていました。しかし、世界の状況はどんどん悪くなり、その間自分の中でいろいろ悩み、8月末に辞退を決めました。

 

今は教職員として、日本で働いています。将来は、国際協力の分野で働きたいという気持ちはブレていません。また現地に戻り、今度はどんなことがあっても現地から離れずに活動し続けられるよう、今は日本でしっかり働いて経験を積み、語学勉強も一生懸命頑張っていきます。

 

 

~語学について~

⑪協力隊の面接を受けた時の語学力は?

TOEIC425点(Dランク)と、英語はほとんどできませんでした。要請内容によって、必要な英語のランクが決められていたりもしますが、派遣される国によって、英語は全く使わず、フランス語やポルトガル語などの公用語か、現地語を訓練所でみっちり勉強します。

 

なので、まずは必要最低限の点数を取って応募して、合格し派遣国が決まったら、その国で使う言葉を必死に勉強し始めれば良いと思います。大学4年次は、授業も少ないし部活等も引退したりで時間がとりやすいと思うので、入所前に、自分でどんどん勉強しておくと訓練所で上のクラスに入ることができ、より高レベルの授業が受けることができるので、より語学力を伸ばせると思います。

 

 

⑫現地で語学は通用しましたか?

実は、訓練所でフランス語を勉強したのですが、現地でフランス語を話したことはほとんどなく、日常生活も活動もすべてマダガスカル語でした。(今は訓練言語が、マダガスカル語に変わったようです)

 

マダガスカル語は、現地に着いてから、首都での語学研修で約3週間勉強しましたが、私の活動地域は方言もあったため、はじめは中々コミュニケーションがとれず、かなり苦労しました。しょっちゅう笑われたり、馬鹿にされたりしましたが、めげずに積極的に会話をしたり、勉強をして、少しずつ話せるようになり、半年過ぎた頃には、かなり自然に会話ができるようになりました。1年過ぎると、マダガスカル語で喧嘩できるくらいになりました(笑)

 

 

⑬どのように語学を勉強したか?

現地では、分からない単語はメモして、とにかく聞いていました。辞書は一応ありましたが、記載されている原型の形で会話されていることはほとんどないので、役に立ちませんでした。文法はほとんど気にせず、単語を覚えていくことを大切にしていました。逆にボキャブラリーが増えていくと、かなりコミュニケーションがとりやすくなりました。

 

机上で勉強するというより、とにかく現地の人と沢山話すことが一番の語学力向上に繋がると思いました。スピーキングは、ある単語が分からなくても、別の言い回しができれば、かなりコミュニケーションをとることができます。(りんごという単語が分からなくても、赤くて丸いものと言う)。

 

うまく話そうとせず、間違えてもいいから、とにかくアウトプットしていくことが大切かなと思います。