新卒のホンネ!~協力隊活動を通して~

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ウガンダ共和国 体育

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アフリカの地で教員という経験を

 

自己プロファイル

派遣国:ウガンダ共和国

隊次(具体的な派遣期間):2018年7月10日~2020年3月20日

協力隊派遣前の専門学校・短大・大学(所属学部やゼミ):桐蔭横浜大学/スポーツ健康政策学科スポーツ教育学科

職種:体育

配属先:Jinja Senior Secondary School(中高等学校)

活動対象:現地生徒シニア1と2(中学校1,2年相当)

要請内容:現地教員と体育の授業の実施/体育の指導方法の共有および指導力の向上/スポーツイベントなどへの協力・推進

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ウガンダのサッカーチームとボランティア契約を結び、プレーしました。

 

自己紹介

新卒でウガンダに派遣された坂口正高です。自分がJICAボランティアを志望した理由は大きく3つあります。

 

・大学サッカーを最後まで本気で続けたかったことです。今考えると両立できなかった言い訳ですが、当時の自分は大学まで本気で続けてきたサッカーに専念して最後までやり切りたかった気持ちがありました。

 

・なりたい校種が定まらなかったことです。大学で小学校と中高保健体育の教員免許を取得し、教育実習や学校ボランティアを通じて学校現場を経験したのですが、進路選択の際にどれか1つに決められませんでした。

 

・何か特別な(みんなと違う)経験をしてから教員になりたいと思ったからです。教員という職は1度就くとやめにくいと噂で聞き、そうなる前に自分の経験値や幅を広げて強みを持ちたいと考えていました。

現地でのことについて

①現地で活動して良かったと思った瞬間

自分との出会いをきっかけに日本を主とした外国について興味を持ってくれる人が居た時は、自分の存在価値を感じることができ、誇りを持てるようになりました。

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配属先:Jinja Senior Secondary School

②活動で苦労or 辛かったこと、どう乗り越えたか

ウガンダに居る“外国人”として現地の文化を理解し受け入れる事です。ウガンダに居るアジア人はすべて中国人扱いです。訳の分からない態度と言葉で絡んでくる兄ちゃんはそこら中に居ます。向こうにそんなつもりはないだろうけど、凄く馬鹿にされ蔑まされているように感じます。

 

さらにウガンダでは時間を守ることにそこまで重きを置いておらず、集合時間から5,6時間待たされるなんてことはしょっちゅうでした。効率よく行動したい自分にとってはプランが大きく崩れるこの環境になれるのは凄く大変でした。しかし、周りの人たちと生活を共にし、コミュニケーションをとっていく中で、交通環境や家庭、経済環境などの背景を知り受け入れる事が出来ました。

 自らが“外国人”であることを理解し、現地の文化や価値観、環境を知ったうえで時には受け入れ、時には流し…笑。この自己コントロールが出来ると居心地よく過ごせるようになりました。

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整備されていない道路。雨が降ると道路が使えなかったり…

③要請内容への取り組みとその後

・同僚とのチームティーチング(T1とT2に役割を分担し、授業後に改善点や反省点をディスカッション)
→お互いの良かった点を次回に活かしたりわからないことを教え合い、学び合うことで
知識の増幅や指導方法の蓄積、関係性の構築に大きく繋がりました。

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同僚と共にチームティーチング。お互いの指導力向上に!

・サッカー部の指導(配属先サッカー部の技術指導)
→日々のサッカー部の取り組みに同行することで、ウガンダにおけるスポーツの捉え方や方針を知ることが出来、配属先として出場した大会での入賞を生徒と共に味わいました。 

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ウガンダ国内2位、東アフリカカップ3位!コーチとして帯同。

・サッカークラブの設立(配属先のサッカー部に入れないレベルの生徒たちへのサッカー指導)
→サッカー部のレベルまで達していない低学年の希望生徒たちを集めたサッカークラブの設立により、トレーニングや遠征での対外試合を通じて人間性の育成、協調性や社会性の基盤づくり、体育の授業の質の向上に繋がりました。

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サッカー部には入れない生徒たちを集めたクラブ!対外試合も実施!

④要請内容外での取り組みと展望

・文化交流フェスティバルの開催(日韓中の文化を持ち寄った異文化理解)
→東アフリカから外へ出ることが難しく異文化に触れる機会がない生徒に対し、“外国”の伝統や遊び、文化の体験を通じて異文化を知り、興味を持つきっかけづくりとなりました。

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お箸で豆運びを体験!

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福笑いは大人気!!

 

・放課後日本文化クラブの設立(日本を一例とした異文化理解)
→配属先に携わる唯一のアジア人として、自身の持つ知識や経験が生徒にとって貴重な体験になることを目的に設立し、その後の文化交流フェスティバルの実施に繋がりました。

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フェスティバルでもサポートスタッフとして活躍しました!

・保健教育プロジェクトの実施(思春期の中高生への適切な性教育
→若年妊娠や望まない妊娠、性感染の原因や男女による心身の発達の違いについて、その仕組みを知り、自身や異性の心身の発達に伴うリスクとその正しい向き合い方を共有することが出来ました。

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妊娠や出産、身体の発達についてプロの方と協力しての保健指導!

さらには、ボランティア内の他職種(教育、医療)をはじめ、現地の医療現場で働く看護師や妊婦さんを巻き込むことで、生徒への落とし込みに効果を出し、新しいプロジェクトのスタートが出来ました。

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現地の病院に協力してもらい、助産師や看護師、妊婦さんとも連携しました。

・サッカー選手としての活動(ウガンダプレミアリーグに所属するチームでのプレー)
→配属先が経営しているサッカーチームでのプレーを通じて、体育・スポーツ現場における自身の説得力や、コミュニティでの取り組みの理解に貢献した。

 

⑤現地での活動や生活(隊員生活)で得たもの

「許容力」です。ウガンダでは自分の考えや価値観が全く通じないこともありました。その背景には宗教や民族間の文化、国政などが関わっていることもあり自分ではどうしようもないものもありました。そう言った中で自分の感覚に縛られず、物事を別視点から捉えることで心が豊かになることを、ウガンダでの生活を通じて学びました。

 

隊員生活で得られたもので欠かせないのは、かけがえのない出会いです。人生の中でこれだけ様々な職種の“プロ”の人たちに出会えることは中々ありません。隊員活動が終わった後でも繋がっていられる関係や繋がりは、大きな財産です。

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出会える日本人の仲間も大きな宝に!

⑥新卒だから出来たと思うこと、逆にもっとやっておけば良かったこと

新卒での協力隊活動は、自由にいろんなことに挑戦できることが大きなメリットでした。周りには社会人経験を積んできている隊員が多く、様々なことでフォローしてくれます。裏を返すと新しいことへの取り組みをスタートすることは新卒の隊員程多くなく、堅実に活動を進めているイメージがあります。どちらが正解というわけではなく、相互作用が相乗効果を生み、活動を広げていくことが出来るのは新卒でよかったと思う点です。

 

さらに、医療系や技術職など多岐にわたるスキルを持った隊員との出会いを通じて、そういった現場に足を運び価値観を広げることも、新卒の興味津々感を活用して得ることが出来たものです。

協力隊全般について

⑦訓練所での感想

本当いろいろな経験や知識、スキルを持った方と出会い、自分の視野が広がっていく感覚はありました。生き方、考え方も様々で凄く刺激的で魅力的な毎日でした。

 

一方で、自分の未熟さを痛烈に感じる場でもありました。日本社会での経験を持たない自分への劣等感と、“新卒の子”と一括りにされてしまう嫌悪感や悔しさとは常に格闘していました…。ただ、それも捉え方ひとつで大きく変わることです。“新卒”という変えられない事実に抵抗するくらいなら、思いっきりそのレッテルを使ってどんどんチャレンジしても許されると思い、自分はいろんなことに手を出しました。実際うまくいかないことも、周りの同期が支えてくれたので凄く充実した濃い経験が積めました。
(新卒だからとあんまりにもはしゃぐと、痛い目見るからそこは要注意…)

⑧選考時はどんな面接だったか

これまでの自分のスポーツを通じた経験から、アフリカでの生活(水道や電気がない日本では普通ではない暮らし)や活動(用具やモノがない中での大人数に向けた体育・スポーツ指導)に活かせるようなエピソードやイメージを伝えるのがメインでした。加えて、近年の日本の教育課題や施策については知識として少し聞かれました。ある程度大まかな教育現場の現状を頭に入れておくことは大切かと思います。

⑨何故受かったと思うか

自分がどんな国のどんな状況でも、前向きに活動に取り組んでいけるという覚悟と意志を持っていたからだと思います。海外に出るチャンスを自分のものにしたいという気持ちがあり、自分の経験から活かせることや長所短所を理解して、質問に自分オンリーの答えをしていくことは大切なことだと思います。

➉協力隊終了後の進路

今は日本での教育現場で教員として働いています。将来的には海外での教員としても働いてみたいなと漠然と考えていますが、今は日本の教育現場を知り、ウガンダの教育現場で経験したものを深めたいと思っています。

語学について

⑪協力隊の面接受けた時の語学力は?

ほとんど皆無でした。TOEICも受けたこともなく、最低点の300点を超えれるかどうかで受けた結果が330点で満足しました…。受験もしていなかったため基礎知識がほとんどなく、気持ちでどうにかなるわ!と考えていたのが正直なところです。

⑫現地で語学は通用しましたか?

ウガンダはアフリカ諸国でも珍しいほどに英語が通じる国だったので、比較的コミュニケーションは取り易かったです。欧米人程流暢でもないので、カタカナにしたようなスピードの英語(世界で通じるような英語ではない)は聞き取りやすく、英語のわからなかった自分には有難かったです。

 

現地語は各任地によって違いましたが、暗号みたいで、現地の人との会話の中から面白く勉強していました。やはり外国人が日本語を話してくれた時のように、現地語を使うと反応が良く、関係を構築しやすくなるのは間違いありません。
現地の人と生活を共にする中で、自然に学ぶくらいでもちょうどいいかと思います。

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サッカーのチームメイト!誕生日にはサプライズ!

⑬どのように語学を勉強したか?

英語は、日常で同僚や生徒が使うワードの意味を聞きながら取り入れていきました。言い回しが上手く伝わらなかったものを、後で調べても難しい単語を使っていたりして伝わらないことが多かったです。そういった時は同僚や生徒に直接言い回しを聞いて、わかり易い言葉選びをするように心掛けていました。
→これに関しては現地人が使う英語に染まっていくので、欧米などではうまく通じない可能性も大いにあると思います。

 

現地語についても、現地の人との会話の中で学んでいきました。こっちが話すと喜んでくれることが多く、少しずつでも現地の人と心を通わせるためには1番のツールだと思います。
ぜひ頑張ってください!

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ウガンダ人とのコミュニケーションから、日々勉強。

⑭最後に…

協力隊員の活動内容ってほんと賛否両論で、

①「現地に根付いた持続性のある活動で勝負」する隊員も居れば、

②「自分が居るこの期間でしか出来ないような活動」をする隊員も居て、

自分はどちらも正解で、素晴らしい活動だと思っています。

 

①については、お金や物理的支援などを使わずに現地の人の生活の中から+αを追求していくやり方で、インパクトはあまり大きくないかも知れないものの、その土地その村に暮らす人にとってはこれからの未来を見据えた持続可能な知恵やスキルを獲得することが出来ることがあります。

 

②については現地業務費やクラウドファウンディングなどを使用して、現地の人からはアクセスしづらいようなコネクションを活用していくやり方で、自分が居なくなった場合には継続して行っていくことは難しいかもしれないものの、その配属先に与える影響やインパクトは大きく、自分と出会わなければ体験できないような貴重な経験との出会いを生み出すことが出来たりします。

 

たとえ同じ国の職種でも、配属先が抱える課題は全く違います。その配属先で活動している隊員が自ら感じ、発見し、取り組んでいる活動に間違いは絶対にありません。結果としての成功や失敗はありますが、その過程での努力する姿を現地の人は必ず見ています。

 

どんな活動であれ、配属先のことを想い活躍する自分を褒め、誇りを持って取り組んでください。

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自分に自信と誇り、そして最高の笑顔を持って!