新卒のホンネ!~協力隊活動を通して~

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南アフリカ共和国 小学校教育

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同僚の先生方と

自己プロファイル

派遣国:南アフリカ共和国

隊次(具体的な派遣期間):2018-1次隊(2018年7月~2020年3月)

協力隊派遣前の専門学校・短大・大学(所属学部やゼミ):早稲田大学教育学部初等教育学専攻、所属ゼミなし)

応募時の資格:TOEIC630点、大型自動二輪普通自動車免許、小学校一種、中学社会免許、高校地理歴史免許

職種:小学校教育

配属先: Gogogo Primary School(ゴゴゴ小学校)

活動対象の人:小学校4・5・6年生。中学1年生。

要請内容:①児童の算数能力の向上 ②現地教員の算数指導能力向上

 

自己紹介

大学入学時には小学校教員になろうと思い、教育学部に入学しました。

学生生活の長期休みを使って、日本各地を趣味のバイクと共に旅するにつれ、新しい場所への好奇心、まだ見たことがない景色が見たいなと思うようになりました。

教育実習にも行ったのですが、四年の春の時点で、来春からバシッと働く具体的なイメージを持てずにいました・・。

何となく「海外で新しい生活をしてみたい、まだやったことがないことを経験したい」

と思い、両親の紹介で青年海外協力隊の選考に申し込みました。

任国では小学校教員として、現地の公立小学校で算数・生活科の指導や、ゴミ拾い活動、現地語の文法書作成、ミスコンテストの開催等、手広く活動を行っていました。

 

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卒業旅行で行ったマチュピチュ

 

現地でのことについて

①現地で活動して良かったと思った瞬間

たくさんあるのですが、何といっても子ども達と関わる活動はやりがいがあることだと思います。辛いことも、苦しい時もたくさんありましたが、「子どものために活動した」ことは常に誇れることだと思います。一つ例を挙げれば、任地での活動が辛くて、自分は何故ここにいるのだろうと思った時期がありました。その際にPTA(保護者で構成される組織)の代表の方に、「君がいてくれるだけで、子供は頑張って英語を話そうとする。子どもたちが君と一生懸命コミュニケーションを取ろうとする姿に感動した」と言われました。その時、「あなたはここにいる意味がある」と言われたようで、自分の存在意義に悩んでいた時期だっただけに嬉しかったです。

 

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小学四年生の授業中。楽しんで勉強しよう♪

②活動で苦労or 辛かったこと、どう乗り越えたか

こちらも書き切れないぐらい、たくさんのエピソードがあります(笑)英語だと思ったら現地語しか通じないエリアだったこと。家がとても不便で水回りが家の中になく、全てバケツで水を汲んで使用していたこと、トイレがぼっとん便所で・・と終わりがないので、アドバイスを一つ。

協力隊に行く以上、誰もが自分のベストを尽くすと思います。しかし自分の頑張りが、必ず直ぐに報われるわけではありません。正当な評価をされていない、自分だけが頑張っていると思う時期も来ると思います。また良いことが地域の人に伝わるのにはとても時間がかかりますが、悪い噂は一瞬で広まります。私も自分は一生懸命子どものために活動しているのに、ある事件がきっかけで村の人から「殺すぞ」と言われたこともありました。メンタルが折れそうな時には、誰かに頼りましょう。同僚の先生方は私の活動・人間性を評価してくださっていたので、コミュニティーからのバッシングから幾度となく守ってくれました。同僚・村人との信頼関係、活動成果以前に一番大事にしてほしいです。

 

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いつも支えてくれたおばあちゃん。孫は自分の教え子

③要請内容への取り組みとその後

派遣された際のミッションである、児童の算数学力の向上には貢献できたと思います。派遣された際には、五年生で繰り下がりの引き算ですらできなかった子どもが、南アを去る頃には分数のかけ算、通分等、計算問題ならば日本の小学六年生に近いレベルで出来るようになっていました(学年にもよりますが)。教師への指導に関してはほとんどしていません(笑)。実際教員自体の学力もそれほど高くなかったので、そこにはアプローチしませんでした・・。ですが大人を変えることはとても大変なので、仮にもう一度行ったとしても先生に対してアプローチするかはわかりません。

④要請内容外での取り組みと展望

始まった一年を過ぎたあたりぐらいから、学力の急速なレベルアップが望めなくなってきました。理由としては、基礎計算が一通りできるようになっても、結局文章問題が解けなかったり、より頭を使う問題が解けないという壁にあたったからです。結局計算ができても、文章から読み取って、頭の中で式を意識してというプロセスには、英語の文章をきちんと理解しなければいけませんし、それぞれの計算の意味もきちんと理解しなければなりません。

 

そこで壁にあたり、子どもの能力を全般的に伸ばすにはどうすれば良いかと考えた結果、ダンスの練習と学期末での披露、環境教育を行ったり、読書の導入、子どもたちだけでクラスをマネージメントさせるという結論に至りました。また私自身授業内の活動だけでは飽きてしまっていたので、現地語の文法書を作成したり、子ども同士で日本とのビデオ通話を行ったり、成績優秀者をご褒美に町へ連れていったり等も行っていました。

 

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近くの中学と共同で、PC教室も行ったりした。

⑤現地での活動や生活(隊員生活)で得たもの

協力隊の活動は楽しいことばかりではありません。僕にとっては辛いことも多くありました。ですが辛いことから逃げずに立ち向かうこと、課題にぶつかった際にどう解決していくか必死に考えること。このようなマインドセットは、今後の人生においてとても大事になってくると思います。また協力隊には本当に様々なバックグラウンドを持った人が来ます。自分のこれまでの価値観で正しいと思っていたことを抑え、相手を受け入れ、理解し、共同でプロジェクトを行ったり、同じ時間を共有することも時に必要となってきます。日本人は「話せばわかる。同じ日本人なのだから」と思いがちです。しかし実際には「話してもわからない。価値観が違うのだから」ということは多々あります。その上でどうすれば仕事を進めていけるのか。トライアル&エラーの面白さに、皆さんにも気づいていただけたらなと思います。

 

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つらい時はいつもここで気持ちを整理してました(笑)

⑥新卒だから出来たと思うこと、逆にもっとやっておけば良かったこと

新卒の強みは、失敗を恐れずにチャレンジできることだと思います。ボランティア総会や、何かしらの隊員同士でのイベントでも、必ず役割分担が出てきます。その際にもし自分がやったことがない分野であれば、例え「メンドクサイ」と感じても、積極的に仕事を引き受けることをお勧めします。一度やってしまえば、次はもっと上手くやれますし、自らの仕事をキチンとこなすことで(たとえ簡単な仕事でも)、より大きな仕事を任せてもらえるようになります。若い時に何かに挑戦した結果は、成功か成長の2択です。そこに「失敗」はありません。何事にもチャレンジしていくことをお勧めします。

 

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じゃんけん列車中

協力隊全般について

⑦訓練所での感想

大学時代は自由気ままにやっていましたが、訓練所はがっつり集団生活の場だったため、慣れるまでに時間がかかりました。下は新卒から、上はシニアボランティアさんまで、多種多様な人が同じ場所で生活するので、人間関係の問題・生活音の問題等、様々な問題が発生します。特に新卒で行く人の中には、そういった集団行動・社会常識に慣れていない人も多くいると思います(私のこと)。自分自身にプライドを持ちすぎるよりは、何か注意されても、一つの勉強だと思って過ごしてみてください。訓練所には多種多様なバックグラウンドを持った人たちと会えるので、いろんな人と話してみてくださいね!

⑧選考時はどんな面接だった(内容)

私は小学校教育で応募しましたが、教育指導要領の具体的な内容について答えるとかではなかったです。ここは先生として既に活躍されている方よりは、いくらかハードルが下がると思います。ですがきちんと答えられなかったからといって落ちるわけではないので、落ち着いて受け答えをしましょう。教育実習の感想や、授業を行う際・子供と接する際に気をつけていることとかも聞かれましたね。あとは第一希望が通らなかった際(私は英語圏の国で希望を出していました)に、他の国でも行けるかも。結果的には第一希望の南アフリカ共和国に派遣されました。南アは男性のみのため派遣を希望する人が少ないため、選考に通りやすいです。穴場としてお勧めです。

 

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任国外で行ったナミブ砂漠

⑨何故受かったと思うか

実力です。というのは嘘で、実は小学校教育、毎回定員割れしています。免許が必要な案件も多いので、要請を応募者数が満たせていない現状があります。

ですが免許がいらない小学校教育の案件もあるので、免許を持っていない場合はそういった案件に応募してみるのも良いと思います。

協力隊に受かるためには、「健康診断」が一番重要だと思います。実際派遣された方は分かると思いますが、途上国で求められているレベルは高くありません。どの職種であろうと、ある程度の結果を残せると思います。なので自分が続けられそうな仕事、出来そうな仕事という基準で選ぶのもありです。

 

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近くの中学には協力隊の方も!

⑩協力隊終了後の進路

私はかなり変わっていて、現在経理・財務職系の仕事を探しています。業種はコンサル・事業会社等。南アにいた頃に、貧富の差からくる教育格差を目の当たりにしました。またそういった問題を解決する際に、教員としての工夫だけでなく、何かを大きく変えるには資金も必要だなと感じることもありました(学校運営や個人塾でも)。そのためのお金を自分で自由に生み出すために、もっとお金について詳しくなる仕事&海外と関わる仕事をしたいと思いました。協力隊時代にTOEICの勉強をし、任国外旅行で帰国してTOEIC受験をしたので、帰国後スムーズに就職活動に入ることもできました。活動以外に何か資格を取っておくと、「努力が出来る」証明になるのでお勧めします。

 

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人生上手く行くことばかりじゃない

語学について

⑪協力隊の面接受けた時の語学力は?

協力隊受験時のスコアはTOEICで630点。英語は大学受験時に勉強したのみで、センター試験時は130点でした。本当は710点?以上のスコア(JICA基準のB評価)を取って、教育省等の管轄に行きたかったのですが、そこまで協力隊応募時に努力が出来ませんでした。その後アメリカ旅行等に行ったりして、派遣された時はTOEICで710点。文章読解はでき、日常会話は大丈夫のレベルです。海外旅行の際に英語を使用していたので、日常会話レベルにはあまり不安はありませんでした(向こうがこっちが英語が出来ないのを理解して話してくれるので)。

 

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いつかまたアメリカを周りたい(次は車で)

⑫現地で語学は通用しましたか?

南アは11の公用語があり、実際の言語数はそれ以上あります。特に黒人の英語は癖があり、彼らのアクセントに慣れるのに時間がかかりました。行ってみても、日常会話は問題ありませんでしたが、難しい話をされる時(例えば中絶についてどう思うかなど)は、結構わからない単語が出てきて、文全体の意味があやふやになってしまうことも多かったです。私が派遣された地域は南アのベンダ族という部族が住む地域の村だったため、英語は使われず、ほぼ現地語オンリーでした。大家さんを紹介された際に全く英語が出来ず、かなり焦りましたが、同僚のアメリカ人ボランティアに現地語の教科書をもらったり、わからないところを質問したりして、現地語を習得しました。

 

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同僚のアメリカンピースコープに多くのことを習いました

⑬どのように語学を勉強したか?

私が派遣されていた地域には、多くのアメリカンピースコープが派遣されており(アメリカ版JICA)、彼らが現地語を学ぶための英語で書かれた文法書類がありました。その紙自体を見るだけでは現地語の習得は出来ませんが、私は同僚に現地語がかなりできるアメリカンピースコープがいたので、彼に習いながら現地語を学んでいきました。また英語⇔ベンダ語の辞書も現地で発刊されており、わからない単語はそれで調べてメモしていました。「will,can,do,please」等、基本的な文法を学んだ後は、毎晩大家さんと一時間会話する時間を取って学習していました(大家さんは英語が出来ません)。その際にわからない単語があったらメモし、翌日にピースコープか先生に質問。毎日それを繰り返すと、三カ月ほどで簡単な日常会話ならできるぐらいのレベルにはなりました。現地語の勉強云々よりも、大家さんが親身になってくれるキッカケはそこにあったと思うので、なるべく多くの時間を自分がお世話になる人と共有することをお勧めします。

もし職種が教員ならば、子ども同士は現地語で会話していますし、見知らぬ異国で自分の身の安全性を確保するためにも、現地語は勉強した方が良いと思います。

 

英語に関しては向こうに行ってから勉強してませんでしたが、現地語がある程度できるようになってから、就活への焦りで勉強を始めました。計400~500時間ほど勉強してTOEICで910点取りましたが、700点台だったときと比べて、実力的に大幅に変わっていることはないです。勉強法としては、過去問を繰り返し解くやり方をしていました。

 

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みんなが懐かしい